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左か右か?

世の中には「左か?右か?」という議論が溢れています。神か悪魔か。米国は共和党か民主党か。資本主義か社会主義か。与党か野党か。確かに、2つの選択肢を提供されたほうが盛り上がります。

仕事のスタイルも左脳派と右脳派に分かれるようです。左脳派は論理思考が強く、官僚や欧米コンサルタントなど。会社組織のロジックも軍隊も左脳思考です。右脳派はヒラメキや直感・感性など。芸術家やスポーツ選手が代表的です。

私は両方を求めています。欲張りですか?

ヒラメキやアイデアという右脳で始まり、事業化する細部を詰めていくときは徹底した左脳派です。商品を作る際は右脳に戻り、営業戦略を考えるときは左脳です。お客様を前にして最後ひと押しするときは右脳です。

昔から経験で、お客様は左脳で納得し、購買の決断は右脳でする、と知っています。

会社組織では、根拠を求められます。提案の際も、指示命令の際も。「なぜなら、それが私の直感だからです。」とはなかなか言いづらいですね。

しかし、常に訓練をしている人の直感と全く訓練をせず経験値のない人の直感では明らかに違います。私は「直感力は貯金のようなものだ」と思っています。常日頃から直感を働かせて、その後に当たったか外れたかを振り返る。そんなことを繰り返しているうちに直感力はどんどん磨かれていきます。まるで、修行のようです。

それでも修行の成果はなかなか論理的に説明がつかないので会社組織では説得力がないかもしれません。このジレンマはずっと消えないかもしれませんね。

ただ、大事なのは「右か左か」「スペシャリストかゼネラリストか」という議論は経営者や事業家には意味がない議論だということです。「どちらも総動員しましょう!」それが私のスタイルです。


今どきWebサイトを持っていない会社はないと思います。

しかし敢えてWebサイトは不要だという意見もあります。facebookだけでページを作ったり、ブログだけでというケースもあります。それも一理あります。

私は日常的に外国人とやり取りしていますが、日本の会社のWebサイトは概して不評です。やはり「そう突いてくるか」と納得してしまいます。

  • トップメッセージや会社概要など、お決まりの文言で差が分からない。
  • 製品の説明は一般論で何が売りなのか分からない。詳細は問合せてくれと書いてあるのに、電話がつながらない。英語では回答が返ってこない。
  • httpsに対応していない企業が相当あり表示がブロックされる。

などなど。

Webサイトに限らず、日本の会社は受付も置かず不親切なところが多いです。こうなると、全て外部と接触を遮断して、何か秘密の事業をしているのでは勘ぐられてしまいます。

「昔からいる取引先とだけ仕事をして、新規で何かを始めるときは経営者仲間だけでコラボして始めるんだよ。だけど経営者はひと昔前の成功体験しかないからね。常に新しい感性を磨いていれば別だけど、若手にリスクの高い新規事業を任せないケースが多い。だから、最近の新規事業って失敗ばかりなんだよね。上場企業も何か始めるときは大々的にメディアに声をかけるけど、失敗して撤退するときはこっそりとしか開示しないしね。」長年の友人の弁です。彼も分野は違えど、新規開拓や新規事業が得意な営業マンでした。言い得て妙です。


Webサイトが登場した1990年代前半はエキサイティングでした。「ほう、こんな会社があるのか」とWebサイトのある会社を発見することもエンターテイメントの一つでした。それが、デザイン性が高くなり、レスポンシブになり、SNSと一体化してという時代になりました。しかし、「退屈さ」を感じているのは私だけではないようです。


日本酒の酒蔵は、みな明治以降の歴史を語り、職人(杜氏)の技を横顔で語り。レストランは真上からの盛り付け写真に溢れ、どの料理写真がどのレストランのものだったかいっこうに思い出せず。


私の知り合いの外国人は率直に言います。「日本が大好きだ。日本の商品はどれも素晴らしい。でも、どれがどこのだったか、全然覚えられない。」正直言って、私から見れば外国も似たようなものです。今言ったことは、そのまま外国企業のサイトにも当てはまることが多いと思います。


ただ、共通して言えることは、「Webサイトは営業の顔」で「訪問したビジターを喜ばせなければならない」「それは対応の顧客満足の第一歩」。それに気づかなければ、かえって不評を拡散することになります。


Webを作ることや維持することが目的ではなく、「会社の顔を表現して、新規の顧客や取引先に理解してもらう」という手段の在り方を再考した方が良いですね。



哲学者パスカルは著書「パンセ」の中で 「人間は、自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない。 しかしそれは考える葦である」と言いました。確かにその通りですが、私は「考える足」が習慣です。

ボーッと歩いているとチコちゃんに怒られそう(NHK)ですが、歩いていた方が「良いアイデアが浮かぶ・まとまりがつかなかった思考が綺麗に整理される」ということが何度もありました。


昔は、日本橋から霞ヶ関、大手町から永田町など地下鉄にも乗らず敢えて歩いていました。その方が、思考がまとまるからです。


これは禅の修行と同じ効果です。禅は座禅だけではなく雑巾掛けも、歩行禅も修行のひとつです。江戸時代の人たちは江戸と京都の100里以上の距離を10日から2週間ほどで歩きました。毎日フルマラソン近い距離を歩けば、みな自然と禅の修行になって悟りを開いたかもしれませんね。


私も毎朝ウォーキングをしています。時々、そのなかで「なんば歩き」もしています。これは手足が同方向の歩き方で刀を差した武士たちはこの歩き方をしていたそうです。今の手足が逆方向になる歩き方は明治時代に海外から輸入された軍隊の訓練で始まったそうです。慣れませんが、意外と早く歩けて、登り坂も楽なのです。人気のアニメ「鬼滅の刃」で主人公の炭治郎を育てる師匠の鱗滝左近次(うろこだきさこんじ)がこの走り方をしていますね。


今の時代の常識は、明治時代や戦後に始まったものも多く、それを金科玉条にしている傾向があります。古きを知る温故知新、未開の地や知らないからこそ魅力的な外国の文化などなど。常に、頭も思考も、身体も柔軟にしておきたいものです。


その意味で、「考える足」。オススメです。


私はご依頼を引き受ける際に「コンセプト」を重視しています。

コンセプトは思いや目的・アイデア・意図というモノゴトの始めの三要素が詰まっているからです。

  • 思いや目的:事業のウォンツであり、何故それをやりたいのか?という理由です。
  • アイデア:知恵であり、戦略でもあります。すごい作戦もすべてはヒラメキや発想から始まります。
  • 意図:作戦として適しているか?という部分です。良いアイデアも正しい相手とタイミング、手段が不可欠です。

私は、お客様からご相談を受ける時は「コンセプトを教えてください」と必ず聞き、そのヒアリングに時間をかけます。お客様が、コンセプトを語り尽くすまで耳を傾けます。

素晴らしい非の打ちどころのないコンセプトはほとんどありません。それで良いと思います。大切なことは、何が不足で何が過剰なのかという足し算と引き算の確認ができることでブラッシュアップされます。


私が営業に出歩いていた時は、カバンを持たず手ぶらでお客様のところに行き「雑談」する毎日でした。業種によってはとんでもないと思われるかもしれませんが、一応法人関係部門でしたので、お客様は金融機関や大手企業でした。雑談と言っても野球や芸能界のネタを話しているわけではありません。相手が困っていることの相談やアイデアのぶつけあいです。その段階では綺麗なパワポの資料も不要です。むしろ、コピー用紙に手書きでぐちゃぐちゃ書いたり、ホワイトボードに書いたりです。昔はホワイトボードがある会議室は限られていました(書いたものをその場でプリントできるホワイトボードが流行っていました)。私が行くと、先方も心得ていて、ホワイトボード付会議室を優先的に手配してくれました。今では、そんなことも不要で、ビデオ会議があり便利になりました。ZOOM会議システムは3年前から、V-CUBEという国産システムは10年前にも使っていましたが、ビデオ会議に慣れていないお客様が多く苦労しました。しかし、今回の新型コロナでリモートワークが増え、ステイホームでのオンライン飲み会が増えZOOMなどが一気に認知されました。不幸中の幸いかもしれません。


「コンセプトを理解する+足し算・引き算をする=コンセプトを完成させるお手伝いを一緒にする」


これが黒田九兵衛の基本的なスタイルです。

コンセプトが固まれば、あとは作業だけの問題と思っています。

お気軽にご相談ください。手書きのメモでも大丈夫です。